……云上的日子……

 
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云卻不肯留 @ 2006-06-05 20:35

11-現実?
どうのくらい時間が経ったのか。気付くと、彼の両親が警察の人達とがやって来た。
両親は彼を強く抱き締め、
よかった!
よかっと」と言いながら泣いていた。
彼も泣いていた。
僕はその光景を見詰めながら、父さんと母さんのことを考えていた。
僕が両親に命をもらったのはこれで二度目だ。一度目はこの世に生まれた時、二度目は今回の自殺未遂。不思議な気分だった。
いったい何が夢で何が現実なのか?謝って彼を突き落としてしまった事が夢なのか?両親に出会った事が夢なのか?
いいや。実は両方とも夢だと事が分かっている。
なぜなら?
彼が現実に生きているし、僕の両親は二年前になくなっている。
彼に健在だと言った言葉は嘘だった。
父は友人の裏切りで取立屋に追い込まれ、自殺。
母は後負うように病気で他界した。
父が遺書にただ一言「許してくれ」と書き残した。
母は病院のベッドの上で、僕の手を握り締め、「許して」と言って、この世を去った。
二人はなぜ「許して」と言ったのか?この時の僕にはよく理解できなかった。
僕は我が身の福を呪った【のろった】。
ずっと苛めて苦しみ、唯一の理解者であるはずの両親まで失った。その原因を突き詰めると、全ては他人という加害者に、そして、それを容認した社会に辿り着く。僕の家族を破滅【はめつ】さした世間に僕は絶望した。
なぜ僕が、僕達だけがそんな目に遭わなければならないのかと?
何とか社会に復讐する事はできないものかとも考えた。だが、あまりにも僕の頭が回転【かいてん】が鈍く。いいアイディアが想いつかないばかりか、行く先々で自分の非力さを思い知らされるのが籍の誤だった。
学費を払えずに大学を中退してからは、フリーターでその日を暮らすことは精いっぱいだった。
もう死ぬしかない。死んで両親のもとへ行こう。それが僕の最後に出した結論だった。その僕が両親に命を救われた。
今なら分かる、あの「許して」の意味が。親としては生きいくための力の弱い息子が不憫【ふびん】でならなかった。その息子を残して先に行くことが、さぞかし心残りでならなかったのだろう。
息子を守り切れないで行く我が身をさぞかし蔑んだ【さげすんだ】事だろう。そして、やっぱりその息子は
肉親を失って残された物の悲しみと苦痛に耐えられず、自ら死を選ぼう【えらぼう】とした。
だけど、
父さん、母さん、もう安心してください。僕はもう決して死のうとは思いません。父さんの言った「お前のことは父さん達が必ず守る!」という言葉、確かに受け取りました。
僕を助けるために、やってきてくれたんだね。本当にありがとう!父さん、母さんに救ってもらった命だから。
そう!だからあの時、僕は彼の命を救いたいと神速【しんそく】思ったんです。
彼と彼の両親が抱きあって泣いている姿を見て僕にも人を役に立つ力があるんだと思いました。
僕と同じように苦しむ人達に伝えるべき物があると気付いたんです。
だから、僕は頑張って生きて行きます。

12-epilogue
ふっと、不思議工房のとこを思い出した。もしかして、あの夢はあの店にいた老人が見せてくれたものなのか、とも考えた。
そう言えば、請求書を受け取っている。今なら、開封【かいふう】してもかまわないだろう。いったいどんな請求なのか?
どきどきしながら、封筒の中身を取り出した。
先ず、目についたのは「請求書」の文字。
次に、金額だった。
金12万円なり」と書かれてある。
「12万円?人材紹介業ならこんなものなのか?
いや、僕の場合は友達を紹介してもらうことになるのか?
なんだか高いような、安いような。
それとも、僕の命の値段?
だったら、安すぎる!」
などと思いながら、その支払い方法の記載【きさい】を見て僕は思わずにやりとしてしまった。
月々100円の1200回払い。
単純計算すれば、百年かかる。
僕はこのサインを完済するまでは死ねないことになる。おまけに、振込み方法は郵便振り替えとしてしてある点に心遣いが見えて、ぷっと吹き出してしまった。
銀行振り込みでは315円以上かかるから、手数料のほうが高くついてしまうが、郵便振替なら、70円です。
振込み先には慈善事業の壇台面があった。そうして、請求書の最後にはこう書き記され【しるされ】ていた:

「貴方は自分の得た生きる勇気を人に伝えなさい。その証として上記金額をご請求申し上げます。
 ——不思議工房」

あれから数年のさえ月が流れた。僕は毎月きちんと請求額以上の金額を支払っている。
ま、たいした金額ではないが、ただ、振り替えて数量を払っていない。その必要はないからだ。
なぜなら、僕はその慈善事業の壇台職員として働いている。僕の仕事は精神的に、悩み、苦しむ人達のカウンセリング。勿論、彼も共にここで働いている。僕達は僕達を必要としている場所を見つけた。

その後、僕達は何度か不思議工房を探してみたが、残念ながら、二度とあの看板を見つけることはできなかった。






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