藍川さとるさん原作の『晴天なり。』シリーズの作品
『ココロの風景-和希-』~"異星人交差点"より~
01
同じ生き物なんてどこにもいない、同じ人種なんてどこにもいない。皆、エーリアン。どしてそこにいるのか分からない。言葉はすくには通じない。でも、だから楽しい。擦れ違うたびに未知との遭遇、だれもかれも皆、違う姿を持ってるはずで。
俺が安西和希になったのは、小学二年の頃だ。実のところ、俺は母親って奴を写真でしか知らないんだが、「ウリフタツ」とはよく言われていた。俺を育ててくれたのはお袋を好きだった男で、逃げた女の子供の面倒を見るなんて「馬鹿な人だ」と子供ながらに思ったけど、それだけ惚れてたのかなと思うと、なんと悔しい。本当の父親だと思ってたのになァ、俺だって好きだったんのになァ。。
変だ、あんな顔だけ女に惚れんなよ。俺も顔だけか。。
男と言う生き物、女と言う生き物、音をなさない言葉、形をなさない心。人と言う輪郭、俺と言う輪郭、重ねられる輪郭、誰もがエーリアンで同じ姿ないはずなのに、同じ姿はないはずなのに、同じ価値の物はいらないのに、誰かの代わりでなんて、いたくないのに。。同一視するということは、一瞬、無視するのと同じ事だと思う。
もしもと考える、親父の傍にお袋がいたのなら、俺は必要とされなかっただろうか。
分からない。俺以外の生き物だから。
家族ってのは変な関係だと思う。当然のように傍にいて、分かりあえると思ってる。血が繋がってだって、それのどこが特別なんだ?不自然だよ。自分以外の生き物何だから、やっぱ他人なのに。
カツシには愛されてような気がする、マリヤにも。ほら、やっば家族だから。
俺がカツシに構われるのはたぶん愛されてから、家族だから。そう、別に特別でわけじないんだ。
じゃ、あんたは?なァ、あんたは?なァ、彰さん。
あ~
水道の蛇口、しまってない。本当、嫌い!怖い!なんで止まらないんだ。動くの怖いから、親父帰ってくるまで、待ってよ!
02
「あ、来てたの、彰さん。あ、ちょっと待ってくれ。」
ざわざわ騒ぐ空気、皆エーリアン、大好きなこの感じ。いろんな奴がいて、いろんな事考えて、擦れ違う誰の正体も分からない。同じ生き物なんて、どこにもいない。だから楽しい。擦れ違う、でも、それで、なんかちょっと寂しくね。
何か俺、何か俺、何か見ないふりしてる気がする。どっか矛盾してる。どっか?
だからあれだよ、なんで俺達、飯食わなきゃ生きていけねのかと聞かれてもさ?それはそれ、決まってんだよっていうぎゃねんだろう?だから、そんな感じで俺の誰かが決まってりゃっていいのに。例えば、あんたとは。
なァ、彰さん。あのさ、彰さんさ、卵焼きとかどう思う?好き、卵焼き?
そうか、やっぱ好きだよな。俺は他人の事、たいて好きだけど、卵焼きと同じように好きなのかもしれね。彰さん、卵焼き好きだもん、卵焼きに好かれようと思わねだろう。
俺、人のこと好きでも、人に好かれることなんか期待してねのかも。ユウジは普通に好き、セイちゃんとかイノウエとかは、好きって言ってくれてから好き。でも、他の友達は卵焼きかも。
マリヤ達はちゃんと好き、家族だもん。
彰さんは?。分かんね。彰さんは信用できねから、好きかとかも分かんねし。って言うことは、卵焼きいっかか?
俺、彰さん、嫌いなのかなァ?だって、普通高校生の男が小学生のガキ、まともに相手になんかしねよな。血の繋がりとか有限そうもないのに。。
俺と人、世の中それだけじゃねと思うから、あんたの傍にいる正当な理由が欲しいんだよ。俺、自分の事も録に分かんねけど、他人の事なんか余計分からねけど、あんたの事なんか世界で一番よく分かんなくて、それとも、何か、ブンーとでかい答えをくれるような気がしたんだ、だから俺、ここにいるんだ。
「欲しがってる答えうをお前にやるよ。」
俺が欲しがってる答えって、何?いつくれの、彰さん?
嘘つき!
03
やばい、又来た!いいかげんしつけな!この音、嫌い!怖い!なんで止まらないんだ!怖かねよ、タコ!動くの怖いから、親父帰ってくるまで、待ってよ!
待つな、又で、もう帰んねんだよ。馬鹿野郎!
「水道の蛇口、しみと?」
「うん~よく眠れだよ。」
ざわざわ騒ぐ空気、大好きなこの感じ。同じ生き物なんてどこにもいない、言葉はすくには通じない。でも、だから楽しい。皆、それぞれに違う輪郭。だけど、それぞれに同じ重さ。誰も彼もそれぞれ違う世界を持ってる、それぞれ同じ大きさの宇宙を持ってる、クロスロードで擦れ違う、ほんの一瞬、誰もがエーリアン。
皆、知ってる。


